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国際私法(国際離婚)

国際的な離婚に関わる手続きの流れ

離婚の手続きについても、世界各国でバラバラです。
「離婚」という制度を法的に認めていない国もある一方で、「タラーク、タラーク、タラーク」と唱えるだけで離婚成立!なんて国もあるわけです。

これは、宗教上の影響が強いのでしょうが、いずれにしてもどのように離婚の手続きを行うかについては検討が必要です。

1. 準拠法の問題…どこの国の法律にしたがって判断するか
2. 裁判管轄の問題…どこの国の裁判所で結着をつけるか
3. 判決承認の問題…外国での離婚が国内でも通用するか

すくなくとも、この3つについて考える必要があります。

どこの国の法律にしたがって離婚を判断するか

たとえば、日本に住んでいる日本人男性とフィリピン人女性が日本で離婚しようとする場合を考えてみましょう。
まずは、どこの国の法律に従って、離婚を判断するかについて見なければなりません。

通則法27条
「第25条(婚姻の効力)の規定は、離婚について準用する」

すなわち、25条を見てください、と。

通則法25条
「婚姻の効力は、夫婦の本国法が同一であるときはその法により、その法がない場合において夫婦の常居所地が同一であるときはその法により、そのいずれの法もないときは夫婦に最も密接な関係がある地の法による。」

これは、前の項で説明したように次の順番で優先的に決まります。
1.夫婦の本国法が同じ(例:夫婦二人とも中国人)ときは、その本国法
2.夫婦の常居所が同じ(例:夫婦二人ともニューヨーク在住)なら、その地の法律
3.夫婦に最も密接な関係がある地の法律

つまり、ずっと日本で住んでいる日本人・フィリピン人夫婦なら、「2」の日本の法律ということになりそうですね。

ただし、これには例外があります。もう一度通則法を見てみますと…。

通則法27条但書き
「ただし、夫婦の一方が日本に常居所を有する日本人であるときは、離婚は日本法による」

ここでも日本人には特別な規定を置いています。
夫か妻が日本であって、日本に一定期間住んでいたような夫婦の場合は、日本法にしちゃいましょう!と。
まぁ、日本人(というより日本の裁判官のみなさん)にとってはわかりやすい結論になります。
こういう日本人だけ特別扱いをしている法律の条文を、「日本人条項」というのでしたね。

離婚を判断する機関

さて、離婚の際には、いろいろな機関が関与する場合が考えられます。
たとえば裁判所や行政機関、あるいは教会などの宗教機関などです。

日本では協議離婚により紙切れ一枚!?で離婚することもできますが、離婚調停離婚審判離婚裁判などの手続きも用意されています。
このような手続きを厳密にみてゆくと、その国特有の機関(たとえば「家庭」裁判所なるもの)でしか離婚できないことになりかねないので、家庭裁判所も外国でいう裁判所の括りに入れてしまうなど若干は緩やかに判断する場合もあるようです。

離婚の効力

では、何が通則法のいうところの「離婚の効力」にあたるのか。
ご存知のように、離婚の際には「婚姻の解消」そのものだけでなく、他に色々な法律問題を生じます。

・氏(いわゆる苗字)をどうするか
・夫婦財産の精算、慰謝料の算定
・子の扶養、親権者の指定

こうした問題が「離婚」の準拠法に入るのか、それとも通則法の「他」の条項で判断されうのかは議論があります。

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