国際私法とは?
結婚や離婚、相続や遺言の手続きは、日本では「民法」という法律で決まっています。
しかし、外国ではまったく違った法律の規定が置かれている場合があります。
たとえば日本では、結婚できる年齢は男性18歳、女性16歳とされていますが、
外国では15歳で結婚できるとされている国もあれば、年齢制限がない国もあります。
では、日本人が外国人と結婚する場合、一体どこの国の法律に従えばよいのでしょう。
ここで、でてくるのが「国際私法」という法律です。
国際私法は、「どこの国の法律に従って考えるかを決めるためのルール」です。
日本では、「法の適用に関する通則法」という名前の法律が、国際私法です。
(もし六法を持っていたら、索引はこの名前で調べてみてください。)
日本の裁判所は、まずこのルールに従って、まずはどこの国の法律で考えるべきかを判断します。
そして、日本の法律、アメリカの法律、中国の法律というふうにその中身を見ていくことになります。
国際私法の読み方
国際私法は、このように、どこの国の法律を適用するかを示す「自動振り分け機」みたいなもの。
ですから、他の法律と比べても、その読み方が少し特殊です。
たとえば、法の適用に関する通則法をみると、こんな風に書いています。
通則法24条2項「婚姻の成立は、各当事者につき、その本国法による。」
これは、結婚できるかどうかは夫婦それぞれの本国法に従って判断します、ということです。
ちなみに、「本国法」とは、一般に国籍をもつ国の法律と考えればよいです。
夫が日本人なら夫は日本の民法で、妻が中国人なら妻は中国の法律で考えることになります。
このように、問題となるテーマ(結婚、相続など)ごとに、「どこの国を使って考えなさい!」と
国際私法は指示してくれています。あとはその国の法律をみればよいことになります。
そこで、まずは、何が問題となるテーマなのかを見極める(これを法性決定という)が大切なのです。
法性決定がなされれば、テーマごとに適用される法律を探し出すためのヒント(これを連結点という)が
国際私法に書かれています(「本国法」など)。
そのヒントに従って、適用されるべき法律(これを準拠法という)を探せばOKです。
まとめ
まとめてみますと、こういう図式になります。
「国際的な問題 → 法性決定 → 連結点 → 準拠法 → 問題解決」
それでは、実際の国際私法の条文について見ていきましょう。