帰化(日本国籍を取得)したい
日本に長く滞在している外国人の方、日本人の結婚して今後もずっと日本で生活しようと思っている外国人の方の中には、日本の国籍を取りたいという方が少なくありません。この外国人の人が日本の国籍を取得する手続きを「帰化」といいます。
なぜ、母国の国籍を捨ててまで、日本の国籍を取得したいと思うのでしょうか。
- 世界でもっとも信頼が厚い日本のパスポートをとれば、ビザ免除で世界中を旅できる。
- 外国人として必要なビザ(在留資格)の更新手続きや再入国の手続きが不要になる。
- 日本国籍者として戸籍に登録されることで、不動産や銀行等との取引などがしやすい。
- 妻も子どもも日本国籍なので、子どもの結婚前に家族全員の国籍をそろえておきたい。
- スポーツ選手や政治家などの職業上の理由で、日本国籍が必要となる。
以上のような様々な理由がありますが、何れにしても日本の国籍をとるには、母国の国籍を捨てる必要がありますので、ふつうは大きな決心が必要となります。
また、新しい日本国籍者(いわゆる日本人)が生まれることで、日本国政府としても新たに一つ「戸籍」を作らなくてはいけないので帰化の審査は非常に慎重に行われます。よって、申請の条件はかなり厳しくて必要な書類も非常に多く、審査期間も6ヶ月~8ヶ月ほどかかることもあります。(また、一定の日本語能力が求められます)
帰化(日本国籍取得)の条件
1.住所要件
まず、帰化しようとする外国人は、原則日本にひきつづき5年以上住所がなければなりません。日本に滞在していても「住所」を登録していない場合や、日本に何十年も住んでいても途中で日本から出たり入ったりして「引き続き」継続して住所がない場合はこの条件を満たしません(再入国許可による短期の出入国か大丈夫です)。
2.能力条件
帰化をしようとする外国人は、20才以上(日本法によって成人・権利能力者)であり、かつ母国の法律でも能力者でなければなりません。
3.素行条件
素行、すなわち善良な人であることも条件となっています。犯罪歴などがなく法律を守る人かどうか、職業について税金もきちんと収めているかなどが見られます。特に納税と犯罪(自動車違反履歴も含む)については厳しく審査されます。
4.生計要件
自分自身また家族の収入で生活ができるかが審査されます。親からの仕送りや家族からの扶養であっても可能です。
5.国籍条件
日本法では原則、国籍は1つだけとされています。もし日本国籍を取得する場合には現在もっている母国の国籍は放棄しなければなりません。
6.団体条件
日本国政府への暴力的破壊をもくろむ団体を結成したり、加入したことがないことも条件となっています。
いくつかの例外要件
原則的な条件は上のとおりですが、下記の場合には要件が緩和されています。
- 日本国籍であった者の子(養子は不可)で、引き続き3年以上日本に住所もしくは居所があるもの
- 日本で生まれた者で引き続き日本に住所もしくは居所があるもの、または父か母が日本で生まれたもの(養親は不可)
- 引き続き10年以上、日本に居所を有するもの
- 日本国民の配偶者であって、引き続き3年以上日本に住所又は居所があり、現在も日本に住所のあるもの
- 日本国民の配偶者であって、婚姻の日から3年がたち、引き続き1年以上に本に住所のあるもの
- 日本国民の子(養子は不可)で日本に住所があるもの
- 日本国民の養子で引き続き1年以上に本に住所をもち、縁組時の本国法により未成年だったもの
- 日本国籍を失ったもの(日本に帰化後に日本国籍を失った者は不可)で日本に住所のあるもの
- 日本で生まれ、出生時から無国籍者で、その時から引き続き3年以上に本に住所のあるもの
- 日本に特別の功労のあるもの
どのような手続きと書類が必要か
帰化申請は必ず本人が申請することになっており、すべての書類がそろって申請をおこなうときには、申請人本人(外国人)が法務局に出向かなければなりません。ただし、書類を作成し法務局の職員に確認をしてもらうのは行政書士・司法書士でもおこなうことができます。
帰化の書類は種類・量が多く、素人だと何度も法務局に足を運ばなくてはならなりません。数の多い中国・韓国の人なら日本語を読み書きできる人も多く平日昼間に時間のある人であれば自分で書類を作成し申請される方もいらっしゃいます。
しかし、欧米、アジア、南米、アフリカ系の方の場合には、翻訳はもとより書類の収集に非常に長い時間がかかってしまう場合もあり日本の法律的な言葉に通じていないため長い時間がかかることもあります。当事務所では、中国国籍者、韓国国籍者の方はもとより、欧米、フィリピンなどのアジア、ナイジェリアなどのアフリカの国籍者の帰化申請の経験もあります(これは現地から取り寄せる家族関係書類や財産書類の収集、翻訳に非常に手間と時間がかかります)。
では、実際にどのような手続きと書類が必要になるのでしょうか。
帰化申請の手続き
1.法務局にて相談、書類作成・収集(行政書士による代行可)
管轄の法務局・国籍課で、必要書類について相談します。特にアジア・アフリカ系の場合、家族関係が複雑な場合もあるので証明書の発行が可能かどうかも合わせて確認します。これをもとに、現地から必要書類を取り寄せたら、日本にある大使館・領事館で取得を検討したりします。また、外国語文の証明書には翻訳が必要となります。
2.法務局にて帰化申請(本人のみ)
帰化申請の必要書類がすべてそろった後、法務局に申請に行きます。この手続は本人しか行えず、代理はできません。当事務所では法務局まで随行いたします。この時までに、日本語能力(日常会話と小学2年生までに習う漢字の読み書き)を上げておいて下さい。
3.法務局での審査→ 許可
およそ半年程度の審査期間があります。その後問題がなければ許可通知があります。この間に住所や職業などに変更があった場合にはすみやかに法務局に連絡を入れます。
4.帰化後の手続き
帰化の申請が許可された後は、官報告示日から日本人となります。法務局から渡される「帰化者の身分証明書」をもって、市町村役場にておいて帰化の届出を行い、在留カードを入国管理局に返納します。
帰化申請に必要な書類
下記のような書類が必要となります。(行政書士による作成代行可。但署名は除く。)
- 帰化許可申請書
- 親族概要書面
- 履歴書
- 帰化の動機書
- 国籍証明書(戸籍謄本や旅券の写など)
- 身分関係証明書(出生証明、結婚証明、親族関係証明、国籍喪失証明など)
- 住所証明書(住民票、旧外国人登録原票記載事項証明)
- 宣誓書
- 生計概要書面
- 事業概要書面
- 在勤及び給与証明書
- 卒業・在学証明書
- 源泉徴収票
- 納税証明書
- 資産証明(預金残高証明、所有不動産登記簿謄本など)
- 確定申告書控、決算報告書、許認可書写(事業者)
- 運転記録証明書(免許保持者)
- 技能、資格証明書
- 居宅・勤務先・事業所付近地図
- スナップ写真など
- パスポート(新旧)写
- 在留カード(外国人登録カード)写
- 運転免許証写
上記のような書類が必要で、原則として一つでもそろわなければ法務局は受理してくれません。
特に、家族関係証明などの身分関係証明は本国から正式な書類を取り寄せなければならない場合も多く、慎重に行う必要があります。これらの書類がすべてそろった後に翻訳をつけてコピー1部とともに法務局にもっていきます。
まずは、ご相談を。
このように、帰化申請(日本国籍取得)の手続きは、提出書類も多く、法律用語や日本語能力も必要となるため、煩雑な手続きで時間と手間がかかることが多いです。ずっと日本で暮らしてこられた中国国籍者、韓国国籍者の方でしたらご自身で手続きをされる方もいらっしゃいますが、欧米、アジア、アフリカ、南米の方はなかなか取得できないのが実情です。
当事務所は、英語圏を中心に中国・韓国国籍者以外の方の依頼実績もございますので、翻訳も含めて安心してご相談下さい。
報酬
- 帰化申請:メール・電話相談・・・無料
- 帰化申請:ご来所による相談・・・6,000円(1回1時間程度)
- 帰化申請:出張による相談・・・10,000円(1回1時間程度)
- 帰化申請:書類作成代行・・・150,000円