国際結婚の旦那さんのこんな相談増えてます。
国際結婚のたいへんな手続が終わって、ビザの手続もインターネットで調べながらご自身でどうにかやり遂げて、やっと日本で一緒に暮らせると思った矢先のことです。
・奥さんが以前の態度と全く変わって、言葉もろくに交わしてくれない。
・一日中アルバイトに行って、給与はなぜか中国本土にほぼ全て送金。
・日本語を覚えたり、日本の親族・友人と仲良くしようという努力がない。
・中国人(フィリピン人)のコミュニティにばかり参加したり家に呼ぶようになった。
・住所は一緒だけど、実際は友達の家を泊まり歩き、ほぼ別居状態。
今後も結婚を続けていくべきか。もし続けていくとしても、ビザ(在留資格)を更新できるのか。ビザ(在留資格)を入国管理局が取り消してしまうのではないか。というご相談です(本当にかなり数は多いです)。
国際結婚は、まずお互いの異なる文化の理解から。
即断は禁物です。国際結婚は異なる文化をもつ者同士の結婚ですから、まずはお互いの文化を理解しようと務めることが大切です。
・お互いの生活言語を覚えようとする努力(日本人の側に努力が足りない場合もあります)
・日本的な「家」・「結婚」などの風習に対する理解(特に親戚づきあいや冠婚葬祭など)
・仕事やアルバイトで得た収入の使い方(夫婦別管理がふつうという国もあります)
・日本人コミュニティへ馴染み参加すること(趣味やお子さんを通してが多いようです)
・夫婦間・家族間でのコミュニケーションをとること(ケンカしても長期の別居は避けて下さい)
こうした努力がまずは必要です。ただそれでも、どうしても理解・納得できない、日本に馴染もうとする努力がほとんど見られないという場合もあります。
結婚前のご相談、結婚後のビザ手続き前のご相談であれば、(ご自身では言いにくいでしょうから)当事務所のほうから、手続きに関する詳しい経緯と事情のヒアリングからアドバイスすることができるのですが、相談に来ていただいたのがすでに来日後半年、1年という場合には正直辛いですね。
「もう離婚しよう・・・」と決めた時の手続き
国際結婚の手続きが少し面倒(婚姻要件具備証明の取得、外国領事館への届出など)だったように、それ以上に国際離婚は手続きが煩雑な場合があります。
お二人でしっかり話しあった上で納得して決めた離婚(いわゆる「協議離婚」)は、世界でも有数の手続的に簡単な離婚の方法ですが、まずはこれを検討して下さい。離婚届に夫婦の押印をしてください。このとき、日本人の側が勝手に押印し提出して、後でトラブルになる事例も多いですが、これは違法ですのでやめて下さい。
協議離婚がととのわない場合は、調停・裁判などの法的な手続きに移ることもあります。この時は、早めに弁護士に相談されたほうがよいです(当事務所は入管ビザ専門の行政書士事務所ですが、弁護士事務所のご紹介は可能です)。
さて、無事に日本での離婚ができたあとは、相手国への離婚届が必要です。これをしなければ日本では離婚していても、外国では結婚状態が続いており、「重婚」状態(いわゆる「跛行婚」)になってしまいます。日本の離婚届受理証明あるいは離婚後戸籍を所得し、海外でも使えるように外務省(東京または大阪分局)で認証を受けて下さい(国によっては在日領事館での認証も必要ですが、詳細はお問い合せ下さい)。これを領事館や本国当局に提出します。この手続は結構面倒な場合もあります(フィリピン・南米などのカトリック系国、中東・イスラム系国の方は個別にお問い合せください)
日本人の配偶者等の在留資格について
「日本人の配偶者等」の在留資格は、離婚するとそれ以上更新することはできなくなってしまいます。帰国準備あるいは他の在留資格(就労系や定住など)への変更を早期に検討して下さい。
在留期間がまだ長期間残っている場合も、現在は離婚後は入国管理局(入管)に離婚を報告する義務があり、それから数ヶ月間のうちに帰国することになっています。(離婚後すぐに再婚するので日本に残りたいという場合は、法律上の制限(日本の待婚期間や各国家族法による制限)もありますので、一度お問い合せ下さい)
日本で働けるだけの資格(就労系の大卒要件や起業系の資本要件など)がある場合は「就労系在留資格(人文知識・国際業務、技能、技術、投資経営等)」への変更、結婚後の日本滞在期間が長い場合は「定住」への変更の可能性があります(ただし、かなり微妙な場合はお問い合せ下さい)。
そのまま在留期限を過ぎてしまうと、違法滞在(いわゆる「オーバーステイ」)で犯罪者となります。かならず離婚後は早めの対応を考えて下さい。
騙されたので、仕返ししたい!
なかには、偽装結婚の道具にされたとお怒りになり、「入管に通報してやる!」「ビザ(在留資格)をなくして強制帰国させてやる!」と息巻く方もいらっしゃいます。
お気持ちはわからないでもないですが、まずは落ち着いて今後何をしなければならないかを考えてみてください。強制退去させられた元奥さんとの話し合いなしに別れてしまった場合、その後の話は非常にやりにくくなります。ましてやお子様がいらっしゃる場合には大変です。弁護士を通して話し合いの機会をもつなど連絡を取った後、冷静な話をすることを勧めます。
また、入国管理局が強制退去を行った場合原則5年は入国できません。ご主人に結婚にいたった経緯や事情も聴取されるでしょうし、あとでやり直そうと思っても取り返しがつかないですから。気分に任せた即断は控えていただくことをお勧めします。