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経営管理ビザで起業(外国人経営者・管理者)

こんにちは。入管申請取次行政書士の川添賢史です。

今日は、日本で会社を設立して起業したり、日本の会社の経営者や役員になるために必要な「経営管理」ビザをとる方法や注意点についてお伝えします。

経営管理ビザってどんなビザなのか。経営管理ビザをもっていると日本でどんな活動ができるのか。どんな条件があってどんな書類が必要なのか。また日本で会社を作ったり、そのための事務所を借りたり、海外送金をしたりといった手続きはどうすればいいのか。その具体的な方法についてヒントになればと思います。

経営管理ビザとはいったい何なのか

外国人の人が日本で経営活動をするには「経営管理ビザ」が必要です。まずはこの経営管理ビザがいったんどんあものなのか。なぜそんなに大事なのかについてお話していきます。

ビザ・在留資格とはなにか

そもそも前提として、外国人(つまり日本国籍を持っていない人)が、日本にやってきて何かしら活動するためには「在留資格」が必要です。ここでは、この在留資格を「ビザ」と呼んでいます。厳密にいえばビザには他に、入国する際に必要な「査証」のことも指しますが、ここでは便宜上在留資格のことをビザと呼んでいきますね。ビザといったら「在留資格」のことだと思ってください。

このビザ(在留資格)をもっていない外国人は、日本で活動することはできません。というか、日本にいてはならない人、不法滞在者ということになります。

経営管理ビザはビザの種類の一つ

そして、このビザには30種類以上の種類があって、それぞれに日本で行うことができる活動の内容が決まっています。

例えば「技能」という種類のビザを持っている外国人は、中華料理やタイ料理、インド料理などの外国レストランでコックとして働くことができます。また、「宗教」という種類のビザをもっている外国人は、神父や牧師などの宗教家としての活動をすることができます。このように、日本にいる外国人は1つの種類のビザをもっていて、その種類のビザで許可された活動をすることが許されています。

ここで、では自分で会社をつくって起業をして、経営者として経営活動をおこなう場合には、どんな種類のビザが必要かというと、これが「経営管理」ビザになります。以前は「投資経営」ビザという名前だったので、そちらのほうが馴染みがある人もいるかもしれませんが、今は「経営管理ビザ」が正しい名前です。

つまり、外国人が日本でなにか活動するためにはビザが必要不可欠であること、その活動がビジネスの経営活動である場合には「経営管理」ビザをもっていないといけないのです。(ただ例外があって、永住者、日本人の配偶者等の身分系のビザを持っている人は、そもそも活動制限がなく広くどんな仕事や活動もおこなうことができますので注意してください。)

具体的にはこんなケースがあります

たとえば、入管専門行政書士をこれまで15年やっている私のほうで、よく相談される案件ではよくこんなケースがあります。

このように外国人が日本でビジネスを起こして、会社の経営者として経営活動をする場合には「経営管理」ビザが必要になります。起業ビザとか社長ビザとかスタートアップビザと呼ばれることもあります。

なお、経営管理にはビジネスの経営活動のほかにビジネスの管理活動も含みますが、混ざってしまうとややこしいので、ここでは基本的に経営者つまり社長さんなどのがおこなう経営活動について主に説明していきます。

 

経営管理ビザで失敗しないための注意点

経営管理ビザは、他の働くビザと違ってどこかの会社に雇用されるわけではありません。みずから会社を作って経営する活動をしています。そのための条件や書類も他の働くビザ、いわゆる就労ビザとはかなり違っています。そこで、経営管理ビザをとろうとするときに失敗しないために気をつけておきたい注意点についていくつか説明しておきたいと思います。

事業(ビジネス)経営とはどういうことか

まず、日本で事業を経営するというのはどういうことか。よく間違えやすい点をピックアップして説明していきます。特に注意いただきたいのは「経営管理」ビザで許可される活動は、一定の規模のビジネスをつくり、文字通りそのビジネスを「経営する」活動です。なので、通常経営者ではなくて従業員あるいはアルバイトがするような、細々とした業務そのものをおこなうのは、それは従業員のやる仕事であって経営者の仕事ではないと判断されることがあるということです。

フリーランスは事業経営ではない

よく間違えられやすいのは、単に個人事業主としてフリーランスとして働くのとは違うということです。よく「セルフスポンサード(自分で自分を雇う形)」といったりしますが、英会話教師、通訳者、プログラマーなどで特定の会社に「雇用」されているのではなく、複数の会社や個人から委任・委託・請負などでフリーで働いている場合、これは「事業の経営」には通常あたりません。事業の経営には一定の規模が必要で、経営者であるその人の仕事は事業経営(ビジネスマネジメント)をするのがメインで、自らが業務そのものをする(「現業」従事者といわれたりします)のとは違います。

ちなみに、英語教師やプログラマーのような高度な専門知識や技術でフリーランスとして特定の会社や個人から委託・委任などをうけて継続的に仕事をする形は、一般的には「技術・人文知識・国際業務」にあたることがあります。ただこの場合、学歴(大卒など)・職歴(経験10年)・資格(IT資格)などが大事な審査のポイントになります。

コック出身者、英語教師出身者も現業に注意

外国料理のコックさんのケースも同じですね。それではレストランにコックとして勤務していたところ、お金がたまったのでは自分でお店を開きたいと思うようになり独立起業した場合を考えてみましょう。それまではコックさん調理師として、中華料理やインド料理をつくっていたわけですから、これは「技能」というビザで働くことができました。しかし、これが起業をして「経営管理ビザ」となり自分でレストランを経営する場合は仕事が異なります。自分はもはやコックではなく経営者として「経営」をすることになります。たとえば、集客だとか、商品開発だとか、人事や経理だとかをするのが「経営管理」で許された活動となります。もはや厨房で鍋をふったり、店頭でレジ打ちやオーダーを取るのは原則できず、そうした仕事は従業員にまかせてください、ということになります。

事業経営は法律違反や売上・収入にとても厳しい

会社を自ら経営するとなると、日本の法律について熟知しておくことは必須です。少しでも法律違反があるとビザの取得・更新などが困難になります。会社で働いている場合は会社が守ってくれていたこと、代わりにやってくれていたことも多くあったと思います。しかし、自ら起業して経営者になるとそれを知らなかったでは済まないことが多く現れます。たとえば、税金のこと、健康保険や年金のこと、契約書や営業許可のことなど、多くの手続が生まれます。できれば士業など専門家の顧問や相談を定期的にうけておくことをおすすめします。

営業許認可の確認は必須

営業許可はよく陥りやすいポイントです。外国人が経営する会社に多い、中古車販売には古物商許可という営業許可がいること、レストランやバーを開業するには飲食店営業許可や深夜酒類提供飲食店の届出がいること、その他にもホテル・旅館や民泊施設、旅行業、人材紹介業などを始めるときにも営業許認可が必要です。

もし、こららの営業許可なしに営業を始めると違法営業となり、会社・店舗を閉めなければならなくなるほか、違法活動を行ったとして在留資格の取消し、場合によっては逮捕されてしまうことにもなりかねません。

労働保険、社会保険の加入義務・納付義務は最重要

つづいて、労働保険と社会保険です。経営管理ビザをとるくらいの規模の会社だと通常は従業員を雇用することが多いと思います。従業員を雇用すると労災保険や失業保険などの労働保険、健康保険や年金などの社会保険について会社が一部負担して加入することが必要となる場合があります。

こうした仕組みは日本人でもすべて理解することは難しいくらい複雑で、外国人経営者の方には特に理解がしにくいところだと思います。でも、こうした保険は従業員を守る制度として日本ではとても重視されており、していないと法律違反になることがあります。特に将来永住権をとって永住したいと希望している外国人経営者の方は注意をしてください。

売上・利益、役員報酬には特に注意

ビジネスをして設けた売上や利益は正確に計算をして、税務署に申告しなければなりません。この会社の確定申告も外国人経営者が自分でやるのは困難です。かならず税理士・会計士さんに相談してください。また、確定申告後にきまった税金を支払いが遅れるのもいけません。税金の支払いはビザの更新の最も重要なポイントになるため最優先で行ってください。

なお、よく間違いやすいのは役員報酬です。よく税理士さん・会計士さんのアドバイスをうけて、税金や社会保険の金額を下げるために役員報酬を下げているケースが見られます。ただ、これはお勧めできません。役員報酬を低くおさえることはビザの更新や永住権の取得という点からは不利にしか働かないからです。しっかり役員報酬をえて納税することをお勧めします。

経営管理ビザがとれるのはこんな人(条件)

「経営管理」のビザは、他の就労ビザと違い「雇用契約書」はいりません。その代わり、自ら事業をはじめるために必要となる事務所の確保、一定の経営規模、事業計画書などが必要になります。ビジネスをはじめから立ち上げる場合はビザの申請の準備に長い時間がかかることもありえますし、経営を始めて数年は売上や利益が伸び悩むケースもあるためきちんとした準備が必要です。くわしくみていきましょう。

1.事務所・店舗の確保

まずは、経営の基礎となる「事務所や店舗」が確保されていることが必要です。賃貸の場合は不動産賃貸借契約書、所有の場合は不動産売買契約書や不動産登記簿謄本が資料となります。ただ、起業準備中は外国人本人はまだビザ(在留資格)をもたず住所がないため、不動産の購入や賃貸が進めないケースがよくあります。また、仮に購入・賃貸の話がうまく進んでも、敷金・礼金の制度、登記や契約書の不備、税金や法律の知識不足などで計画が狂うケースもあります。高価な買い物だけにしっかりと日本の不動産にかかわる知識を得た上で話しを進める必要があります。

2.経営規模(投資金額500万円以上)

ビジネスを始めるにあたって事業資金の確保は一番のポイントになることが多いです。会社を作る際の資本金として投資することが多いですが、その原資となる資金がどのように集められたか、海外送金や預金の仕方でトラブルになるケースもありえます。また、法人設立の際には株式会社、合同会社のほか、NPOなどの非営利法人、医療法人・社会福祉法人などの特殊な法人形態もあること、許認可の取得や会社法の知識、法人化による各種税金や社会保険などの知識も経営をすすめる上で必要不可欠です。

3.事業計画書(事業の安定性・継続性)

新しく立ち上げるビジネスの場合、売上や利益の実績がないことから、事業計画(創業計画)が重要となります。どのような商品をどのくらいの価格でどのような取引先にどうやって販売するのか等の計画をできるだけ綿密に実現できる内容で計画を作る必要があります。また、そのための収支計画も一緒に作成することが必要です。

経営管理ビザに必要な手続きと書類

経営管理ビザの申請書類

経営管理ビザの取得に必要な申請書類は、典型的には以下のような書類になります。起業して間もない会社でまだ決算書ない場合にはさらに多くの書類が必要となります。

本人に関する書類

会社に関する書類

経営管理ビザはしっかりスケジュールをたてて

日本で経営を始めるためには多くの準備が必要です。法律によって決められた手続きを行わなければならない場合もあり、適法にスムーズにビジネスを始めるにはこうした手続きをしっかり理解して迅速かつ正確に行っていくことが大切です。

1.市情調査・事業計画書の策定

ビジネス(事業)を始める前には、どのようなビジネスをするのかを決めなけれなりません。どのようなサービスや商品を扱い(商品戦略)、どこにいる(地域戦略)、誰に対して(顧客戦略)、いくらの対価で(価格戦略)、どのような広告を使って告知し(広告戦略)、どうやって売るのか(販売戦略)についてきちんと決めておくことが大切です。これを考えて文章や図に表しておくのが「事業計画書(ビジネスプラン)」です。まずはしっかりと調査をおこない、事業計画書にしたがって実際に事業として利益をだすことができるのか、しっかりと検討を重ねておくべきでしょう。

2.資金調達・投資

また、事業を始めるには資金が必要です。自分でお金を集めるのか、他人や金融機関などから借り入れるのか、借り入れた際の返済計画や売上・利益予測を通じて資金をうまく回していくための計画(収支予算書)も事業計画書の大切な要素です。具体的な数字を使って具体的に予測しておくことが大切です。

また、金融機関で資金を借り入れる際の参考資料となることはもちろん、経営管理のビザ(在留資格)を新たに取得する際の提出書類としても、収支予算書は重要な資料となります。

3.事務所・店舗の確保

ビジネスの拠点となる場所を確保します。賃貸もしくは購入することになりますが、家主や不動産仲介会社との交渉や支払方法については日本の商慣習への理解も十分したうえで慎重に進める必要があります。

4.法人設立・営業許認可

ビジネスを始めるにあたっては、法人設立(株式会社KK、合同会社GK、あるいは一般社団法人やNPO法人など)が、また業種によってはこれに加えて営業許可や届出(建設業、運送業、古物販売業、飲食業など)が必要となる場合もあります。

5.契約書作成・税務・労務手続

また、ビジネスを進めていく中で契約書作成(取引契約書、雇用契約書、秘密保持契約書ほか)、労働者の雇用・社会保険、給与計算などの労務手続、税務署への開業届や申告、納税手続きなどの税務手続きも必要となります。取引上のトラブルが発生すると弁護士のサポートが必要となる場合もあります。

専門家・士業の活用

こうした色々な手続きや書類の作成については、それぞれの専門家がいます。(行政書士、司法書士、社会保険労務士、税理士・会計士、弁護士など。)経営管理のビザ(在留資格)は煩雑な手続きや資料をともない、高額な投資資金などもかかってくるため知識と経験を必要とする難易度の高い手続きです。できるだけ専門家のアドバイスを早めに受けて進めることをおすすめします。また、ビザ以外の手続きについても、当事務所で専門家同士のネットワークによる専門家をご紹介することもできますので、お気軽にご相談ください。

経営管理ビザの申請手続きのご案内

ここからは、これまで外国人の就労ビザ申請をお手伝いしてきた、当事務所のビザ申請代行サービスのご紹介をさせていただきます。すでにここまでで疑問・質問がすべて解消された方、ご自身で永住権の手続きを進められる方はここまで長文をお読みいただきありがとうございました。

当事務所では14年以上の経験、15000件以上の日本在住外国人のお問い合わせへの回答から、参考になるる記事をほかにもいくつか無料公開しております。ぜひ当サイトを登録して今後もご活用いただけますと幸いです。

代表行政書士の紹介

就労ビザのご相談に対応するのは、当事務所の代表行政書士の川添賢史です。

経験乏しい新人行政書士や資格のない事務所スタッフが代わりに対応することはありません。ご安心して何でもお聞きください。英語での対応も可能です(中国語は対応していません)。

高校入学後アメリカに交換留学し、その後マレーシアに滞在、立命館大学国際関係学部で東南アジア研究、神戸大学大学院で国際私法を学び、その後法科大学院を卒業して現在の外国人ビザ専門の行政書士の仕事につきました。その間、ずっと外国人との国際交流を通じて外国文化を学んできました。

日本に住む外国人の人たちが日本で安心・快適に暮らせるお手伝いをとおして、日本の多様性の発展・多文化共生の推進に貢献したいと思っています。

行政書士によるビザ手続代行のメリット

入管申請取次行政書士によるビザ手続代行は、外国人本人・雇用会社に代わって行い、次のような手間と時間を省くことができます。

代行依頼にかかる費用(就労ビザ・標準)

就労ビザの申請手続きにかかる費用は、標準で下記のとおりです。(技術人文国際の場合)

なお、転職の際の就労資格証明は88,000円(税込)となります。

経験豊富な代表行政書士がお一人おひとりの事情にあわせて相談をうけ、相談から書類の作成や収集、入管での申請から連絡までを行います。

まずは、就労ビザの取得が可能かどうか、どの種類の就労ビザが適切なのかを、学歴・職歴、仕事内容や給与金額などからしっかりと時間をとって個別相談でお伺いし判断します。この時点でビザ取得が困難と判断した場合には手続以来をお断りさせていただく場合もありますので、ご了承ください(この場合はご相談のみとなり手続代行費用はいただきません)。

就労ビザの取得について疑問や不安をお持ちの方は無料のお問い合わせをご活用ください。経験豊富な入管申請取次行政書士が無料でお答えします(プロフィールはこちら)。

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自就労ビザがとれるのかどうかの具体的な質問や確認、就労ビザの手続代行の依頼や相談は個別相談をご利用ください。。

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