就労ビザをとるために給与額は一つの大きなポイントになります。
外国人従業員に支払う給与額が、就労ビザの取得にどのように関わってくるのか、どのような点に注意滑ればいのかについて解説します。
目次
就労ビザの条件としての「給与額」
外国人従業員に支払う給与額は、就労ビザを取得する際に審査される条件の1つです。
「日本人と同等以上」
就労ビザの条件となる給与額は、「日本人と同等以上」です。抽象的な表現となっていますが、つまり同じ職種・年齢・学歴などの日本人と比べて低い賃金ではダメだということです。
就労ビザで外国人を雇う場合は、高度な知識・技術をもつ人材の雇用が前提で、決して安価な労働力をえるためではないという点に注意が必要です。
では、具体的にはどのくらいの金額が必要なのでしょうか。
外国人が会社員の場合の給与・賃金
一般的な会社従業員(例えば、人文知識、国際業務、技術、技能、企業内転勤など)での雇用であれば、日本人の同僚の給与額が一つの参考になります。この際は年齢や学歴、役職ができるだけ近い人にしましょう。賃金台帳や賃金規定などがあれば比較説明する資料として添付して説明することができます。もし、金額に大きな差があるようなら、資格や職能、入社後の年数などで理由を説明します。
一般的には大学新卒者の22歳、事務系総合職で18万円以上、職歴10年の中堅技術者で25万円以上が相当ではないかと思います。
外国人が専門職の場合の給与・報酬
弁護士や会計士、教授、医師・看護師など専門職の場合も、基本的には日本人の同じような年齢、学歴・資格をもつ人との比較が効果的です。また、業界・職種ごとに平均給与・報酬額のリストが業界団体などが公開していることがあります。実際には、専門職についている外国人の方はの給与は一般に高給であることが多いので給与額・報酬額で問題になることはあまりありません。ただ、業界平均や日本人の専門職と比べて極端に低い金額だと、本当に専門職に従事しているのか(単純労働などの他の業務に従事している偽装就労ではないか)が問題となりえます。
専門職の場合には人によって給与・報酬額に大きな開きがあることが多いですので、その場合は理由を説明したほうがよいでしょう。
家族扶養・永住申請の場合の条件
ここからはワンポイントアップのアドバイスです。就労ビザの条件としての給与額は上に記載したとおりで、「日本人と同等以上」であれば条件としてクリアできます。ただ、日本で働く外国人の人のことを長期的に考えると、将来的には家族を日本に呼んで一緒に生活したり、永住権をとることを希望していることもあります。その場合には、「家族滞在(扶養)」や「永住申請」を想定して、給与額を設定することも必要になってきます。
家族扶養と給与額
日本で働く外国人の方は、長く日本で働くことになると、外国にいる家族も日本に呼びたいということが起こります、あるいは結婚して家族ができることもあります。そのような場合には外国人就労者の外国人家族を扶養する「家族滞在」ビザ(在留資格)が必要となります。
これには、家族を養えるだけの給与額が必要です。ちなみに「家族滞在」で日本に滞在する家族は原則働くことはできません(別途、資格外活動許可を取る必要がありますが週28時間のアルバイトに限られます)。
例えば、日本で働く外国人男性が妻と子ども3人を日本に呼んで家族5人暮らしをしたい場合、5人が日本での暮らすことのできる費用(家賃、食費、教育費、水道光熱費、医療費、保険料ほか)をまかなえるだけの給与でなければ、家族を呼ぶことが難しくなる可能性があります。また、仮に就労ビザ・家族滞在ビザは取得できたとしても実質的に日本で生活を続けることが困難になることも考えられます。
特に子供の人数と教育費については、しっかりと計画立てておくこと、場合によっては家族手当や住居手当などの手当をつけたり、より条件のよい仕事への転職を検討することもありえます。
永住申請と給与額
日本で就労ビザを持って働いている外国人は、今後も続けて日本に住み続けたい、働き続けたいという場合には「永住」をとることが便宜です。永住をとるには永住申請をしなければなりませんが、この審査は給与額(年収)、納税額、社会保険や年金などが大きなポイントとなります。
永住を一度取得すると、その外国人は数年ごとの更新審査をうけることなく(理論的には死ぬまで)日本に住み続けることができます。そのような永住外国人の方の永住を認めるには、一定の収入をえて、自らの収入で家族全員が暮らしていけるだけの説明をすることは当然といえるでしょう。一方で、もし収入が低くなって生活できなくなれば生活保護、病気になれば健康保険・年金が支給されることで日本政府が支援をすることになります。
私個人の感覚としては、独身者で月額20万円(年額240万円)、扶養家族が一人増えるごとに月額5万円程度(年額60万円)程度はあったほうがよいと考えます。もちろん、預金があったり、持家などの資産があったりすれば資料をつけた説明によってはこれより少なくても永住取得は可能です。(入管は一人80万円程度を基準としているようです)
「高度人材」ビザをとるための給与額
もう一つ、給与額・報酬額によってメリットがあるのが「高度人材」ビザです。
「高度人材」ビザは、高度な専門知識や技能をもつ外国人のうち特に優秀な人材に特別なメリットを与えるために作られた特別の就労ビザです。これには大まかに教授・研究者(イ)、会社従業員(ロ)、経営者(ハ)の3種類があります。
高度人材(高度専門職)ビザのメリット
高度人材ビザの取得には各条件クリアによるポイント獲得で70ポイント以上を取る必要があります。高度人材ビザを取得した場合、その外国人の方は次のようなメリットがあります。
- 複合就労活動が可能に
- 在留期間が5年に
- 永住取得要件が3年または1年に
- 配偶者の就労が可能に。
- 親、家政婦さんの呼び寄せ可能に。
- 入管での審査がスピーディーに。
外国人教授・研究者の高度人材ビザと給与額
年収によって、かなり大きなポイントが得られます。
- 年収1000万円 40ポイント
- 年収900万円 35ポイント
- 年収800万円 30ポイント
- 年収700万円 25ポイント(39歳まで)
- 年収600万円 20ポイント(39歳まで)
- 年収500万円 15ポイント(34歳まで)
- 年収400万円 10ポイント(29歳まで)
外国人従業員の高度人材ビザと給与額
年収によって、かなり大きなポイントが得られます。
- 年収1000万円 40ポイント
- 年収900万円 35ポイント
- 年収800万円 30ポイント
- 年収700万円 25ポイント(39歳まで)
- 年収600万円 20ポイント(39歳まで)
- 年収500万円 15ポイント(34歳まで)
- 年収400万円 10ポイント(29歳まで)
ただし、年収300万円未満は他の条件がクリアできても、高度人材ビザは不許可になります。
外国人経営者の高度人材ビザと給与額
年収によって、かなり大きなポイントが得られます。
- 年収3000万円 50ポイント
- 年収2500万円 40ポイント
- 年収2000万円 30ポイント
- 年収1500万円 20ポイント
ただし、年収300万円未満は他の条件がクリアできても、高度人材ビザは不許可になります。
給与額と税金・社会保険の控除
上記の給与額は、もちろん税金・社会保険とも関わります。給与額が高ければ多くの税金(所得税、地方税)、労働保険・社会保険(健康保険・年金)を支払わなければならなくなります。通常、会社に勤務している場合は税金・社会保険料の支払いは特別徴収で控除(給与が支払われるときに会社があらかじめ税金・社会保険料を差し引いた金額(いわゆる手取り)で支払うことが多いです。
特に税金の支払いは就労ビザ(在留資格)の許可についても重要な条件となります。もし未納があれば不許可になることもありえますので注意してください。
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