難民認定申請の数は最近増加中
実は、難民認定を申請している外国人の数は最近急増しています。これは、世界中で戦争や政変が起こったため難民が増加しているのかということ、そういうわけではありません。もちろん真正な難民は国政人道法的な観点からも保護を与えるべきあることは間違いありませんが、一方で日本の難民制度の隙間をねらってとりあえず「難民申請」して日本に滞在する時間を稼ごう、といういわゆる偽装難民申請者も少なからずいることは疑いなく、このことが本来救うべき本当の「難民」の保護を妨げているといえます。
難民認定申請者の数
- 2006年 約1000人
- 2008年 約1600人
- 2010年 約1200人
- 2012年 約2500人
- 2014年 約5000人
- 2016年 約10900人
実際に難民認定された数
- 2006年 34人
- 2008年 57人
- 2010年 39人
- 2012年 18人
- 2014年 11人
- 2016年 28人
このように、10,000人の申請があっても、認定されるのは数十人程度で、ほとんどのケースは「不認定」となるのです。
認定されたケース・不認定となったケース
なお、認定されたケースでは「政府による宗教弾圧に対する抗議運動でで警察に連行され拷問を受けた」「政府から敵対視されている政党に所属して活動したことで政権与党から襲撃を受けた」「テレビで政府を批判したところ,政府に非合法化された組織に所属していることが発覚して拷問を受けた」などがあります。2016年の認定者の主な国籍は、アフガニスタン7人,エチオピア4人,エリトリア3人,バングラデシュ2人でした。
一方、不認定されたケースでは、「借金問題や遺産相続など主に財産上のトラブル」「地域住民や交際相手等との間に生じたトラブル」などもあり、そもそも難民の定義にそわないものも含まれます。2016年の不認定者の主な国籍は、インドネシア1,742人,ベトナム1,213人,トルコ888人,ネパール841人,フィリピン775人,スリランカ464人,ミャンマー319人,バングラデシュ250人,インド248人,パキスタン241人でした。
難民認定申請にかかる時間と未処理数
また、難民認定申請は、人権にかかわる重大な判断をともなうため、審査もかなりの時間と手間をかけて行われます。現在では1度目の申請でおよそ8ヶ月ほどかかり、さらに異議申立てをすれば平均でやく30ヶ月(2年半)かかります。
そのため、入管職員に限りがある一方で申請数の増加にともなって「未処理数」も上昇しており、数千件が未処理のままとなっています。
こうした状況から、いったん難民認定申請を行えば、半年から3年程度は「難民認定申請中」の状態のまま日本に滞在が許されるという状況が生まれています。